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2008年4月

2008年4月12日 (土)

神谷えり"duos"

Duos RYOさんにご質問にお応えして…。

去年リリースされたシンガー神谷えりさんのアルバム"duos"のライナーを書かせていただきました。

すばらしいミュージシャンたちとのデュオセッションを集めたアルバムです。

是非お聴きになってください。

神谷さんのCDをリリースした Myriad Production のフリーペーパーに寄稿した文章をご紹介します。

人が人の前でニュートラルな姿勢を保つことは存外難しい。日常生活の中でさえそうなのだから、個性と個性とがぶつかりあう芸術表現の場ではなおさらであろう。神谷えりは、アルバム”duos”の中で、その抜き差しならない不可能に挑戦し、それを見事に実現している。あたかも古武道家のように一瞬だけ自分の存在感を消し、相手の力を使って投げられる…投げ返す。武道ならどちらかがバタリと倒れていれば勝負ありだが、音楽のセッションの場合は、ふたりがスクッと立ち、しかも愛しあっていなければならない。抱き合って互いの瞳の奥底を見つめあうのか、肩を組んで同じ希望に向かって涙するのか。それは、歌われる楽曲と、楽器の音色と、そしてなによりも共演するミュージシャンの個性のありかたによって、自動的に選ばれることだとでも言うように、神谷えりはのびのびと歌う。そのニュートラルな姿勢を可能にしているのは、彼女のとてつもなく個性的な声と、その短からぬ音楽家としてのキャリアであろう。神谷えりは「歌」で世界や人に対する愛を表現する。しかし、彼女がほんとうに強くなれたのは、音楽によって深く愛される経験をしたからなのだし、ニュートラルな自分を相手の前に投げ出す勇気を彼女自身が持ったことによる。”duos”に治められた美しい曲の数々は、おのおの十分に個性的でありながら、大きな彼女の「物語」を紡ぎ出してもいるのである。▼神谷えりのライブを聴きにゆくと、彼女のソウルフルな歌声が直接心の琴線に触れてきて、涙がとまらなくなる瞬間がある。帰宅して、あの歌は何語で歌われていたのだろうとふと記憶をたどるが、思いつかない。、彼女は今のところ、英語・日本語・そしてハワイアンで歌うが、語学の達人でもない僕が、あっという間に言葉を超越した世界に連れてゆかれる。それほど彼女の「歌」は圧倒的だ。おそらくは、彼女は少女時代から、自分の前を通り過ぎる「歌」のことごとくを、自分の声で歌わずにはいられなかったのだろう。そんな少女の天真爛漫な好奇心が、今豊かな成熟の時を迎えている。思いとテクニックとが見あうというのは、こういうことなのだろう。”duos”はそんなアルバムである。"F-air"01号

Amazon

http://www.amazon.co.jp/duos-%E7%A5%9E%E8%B0%B7%E3%81%88%E3%82%8A/dp/B000V5J1VS/ref=pd_bbs_sr_1?ie=UTF8&s=music&qid=1207960537&sr=8-1

2008年4月 8日 (火)

自分の名前を検索する

Googleに自分の名前を入れて検索してみた。

はじめてではない。でも、いつもするわけではない。

それは僕にとって、少し気が弱くなったり、落ち込んでいたりする時の儀式のようなものだ。

いよいよ来週から新学期が始まるとあって、身震いするような緊張感がみなぎると同時に、なんとなくブルーでもある。

だから、自分の名前を検索してみた。

予備校講師の評価サイトの記事などはさすがに読まない。きまって、もっと落ち込んでしまう。いや、もっと落ち込みたいときにはあえて見たりもするのだが…。今日の僕は、幸いそこまで毒を欲していなかった。

日本中の同姓同名の方々にご挨拶。実にいろいろな方がいらっしゃる。どなたとお目にかかったことはないけれど、自分がたくさんいるようで、なんだか楽しい気分になってくる。

ふと、ひとつのブログが目にとまった。姫路でウエディングのプロデュースをしておられるRYOさんの美しいブログ。ジャズがお好きで、たくさんのアルバムを紹介されながら、日々の思いを綴られている。

その中で、ご自身にとって大切なアルバムとして、小曽根真さんの"Roborn"が紹介され、僕のライナーノーツに触れていたくださったのだ。

Reborn_2 照れくさいが引用させていただく。「私はこのライナーノーツを読んでとても感動し、そして勇気を持てた。私が以前勇気をもって企業を辞め、一人で世の中に飛び出せたのもこのライナーノーツのおかげかもしれないと思えるほどだ。」

僕は心が震えた、こんなことがほんとうにあるんだと思った。うれしかった。

小曽根さんが、一介のファンである僕に書かせてくださったライナーノーツ。依頼をいただいたときの心の高鳴りと緊張とそして感激とを、僕は一生忘れないだろう。

ニューヨークの小曽根さんに電話でインタビューさせていただいて、その最後に小曽根さんが、こう僕に勧めてくださったことを思いだす。「とてもおこがましいお願いなのですが、もし、できたら最後に中西さん自身のことも書いてください。きっと、中西さんの経験されたこと、感じたことが、たくさんの方々を勇気づけることになると思うんです。」

RYOさんの文章を読んで、ほんとうにその言葉が実現したことを知った。奇跡だと思った。涙が自然と湧き出てきた。

こんなすばらしい出会いの経験を、数年をかけて味わせてくださった小曽根真さんに感謝する他はない。僕も彼のような人になりたいと心から願う。

RYOさんのブログに僕がコメントをつけ、RYOさんも僕のブログにコメントをくださった。RYOさんには、新しい友人として、おつきあいいただきたいと念願している。

だから、春の嵐の日にGoogleで自分の名前を検索するのも悪くない。

RYOさんのブログ

http://ameblo.jp/vespa-wedding/entry-10014642776.html#c10116656753

Amazon

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%B3-%E5%B0%8F%E6%9B%BD%E6%A0%B9%E7%9C%9F-TRIO/dp/B00009KM5S/ref=sr_1_13?ie=UTF8&s=music&qid=1207645836&sr=1-13

2008年4月 4日 (金)

No Name Horses

“No Name Horses” directed by Makoto Ozone

2008/3/30 sun. 20:30

Blue Note Tokyo

Second Show

Set List

01 OK, Just One Last Chance? (Makoto Ozone)

02 Stepping Stone (Toshio Miki)

03 Portrait of Duke dedicated to Herb Pomeroy (Makoto Ozone)

04 You Always Come Late (Makoto Ozone)

05 Reconnection (Eric Miyashiro)

Encore

06 Rhapsody in Blue (George Gershwin)

07 No Strings Attached (Makoto Ozone)

Ending

08 Toil Moil (Makoto Ozone) 

なにか変だと思った。とても変だと思った。だって、ツアーの最終セットが、きっちり1時間5分で終わったのだから。
 演奏されたどの曲も完璧なアンサンブルだった。息のあったビッグバンドの強烈な音の圧力を身に帯び、常識を超越したハイトーンからフロアを震わせるように立ち上がってくる低音まで、この世に存在するありとあらゆる音が、溢れ出しスイングしていた。三木さんが、自らの曲Stepping Stone “の解説をするとき、「もうこれで最終セットかと思うと感無量です」といって立ちすくむ姿を見た。僕たちオーディエンスはこのすばらしいミュージシャンたちと共振し、深く感動した。"You Always Come Late"の命名者の方が紹介されて喝采を浴びた。エリックの曲”"Reconnection"の、名前の由来のすばらしさを、僕たちはその演奏で「経験」した。それは、すばらしく充実した完璧なステージだった。

 でも・・・なにか変だった。小曽根さんのソロもなかったし、あっという間に最終曲になった。何かかある!でもその何かがわからない。
 小曽根さんは、ステージの冒頭でオーディエンスに「今日は終電に乗り遅れてもいいですか?」と冗談まじりに問いかけていた。サックスの岡崎さんの紹介のときに、「彼はクラリネットもすごくうまくて、今夜ももしかしたらそれが聴けるかもしれません。」と言ってもいた。でも、それが伏線だとは誰も思わなかっただろう。
 解き明かしは、アンコールだった。うなりをあげるオベーションの中で小曽根さんは言った。「今回はは最終ステージですから、少し長い曲をやってもいいですか?でも、この曲はオリジナル曲でもジャズのスタンダードでもないんです。まだCDにも入れていない曲です」エリックがうやうやしく楽譜を広げてみせる。とても長い…何だろう?
 一息ついて、小曽根さんがコールした曲名は、「ラブソディ・イン・ブルー」。オーディエンスたちがどよめいた。「僕は楽譜がないので、見ないでやります」。それは突然決まったことなのかもしれなかった。"No Name Horses"からのこの上ない贈りもの。昨年12月のオーチャードホールで初演された、ビッグバンド版「ラブソディ・イン・ブルー」が、岡崎さんのクラリネットのソロで始まったのである。
 オーケストラ版とほぼ同じ約25分。長い、長い、アンコール。原曲に忠実なクラシカルなテイストを残しながら、ある音で息がぴたっとあうとビッグバンドの咆哮が強烈にスイングしてみせる。ソロパートの自由闊達さが、かえってガーシュインへのオマージュとなる。そして、メンバーひとりひとりへの愛と尊敬と信頼の思いが、ひとつひとつの音に結実してゆく。初演とは全く違う展開だが、でもこれはガーシュイン以外のなにものでもない。あまりにもタイトでスピリチュアルな演奏に、僕たちオーディエンスはあたり前のように、熱狂した。
 ジャズクラブでは珍しいスタンディング・オベーション。ひとりたち、ふたりたち、アンコールの2曲目"No Strings Attached"でフルスイングしたあとは、Blue Note Tokyoが総立ちになった。もう立たずにいられないのだ。そう初めてジャズクラブを訪れた人でさえも。
 金管のメンバーが、客席の間を演奏しながら練り歩き、リズムセクションの3人が控え室の戻ったあとも、オーベーションは終わらない。まるで、クラシックの演奏会のように、メンバー全員がステージに戻って、オーディエンスから賞賛の拍手と歓声とを受けた。ブラボー!
 ロックのコンサートのように客席総立ち、そしてクラシックのコンサートのように鳴り止まぬ拍手。でもそれは、確かにジャズだった。スタンディングオベーション。あのBlue Note Tokyoで!
 それはとても感動的な光景だった。強く胸を打たれた。終わってほしくなかった。オーディエンスはもちろんだが、メンバーたちもみんなそう思っていたはずだった。だから、会場がひとつになった。言葉で説明できない思いを、あの場にいた誰もが感じていたはずだ。
 だから、僕たちは彼らの、"No Name Horses"の次のレコーディングを待つ。次のツアーを待望する。ここまですごくて、だからこれで終われるものか!僕はそんな彼らの声を聞いた気がする。
 僕はだから祈る。はやく彼らに帰ってきてほしい。そう祈る。そして、彼らは僕たちの期待に応えてくれるだろう。

 小曽根さん、"No Name Horses"のみなさん、ありがとうございます。僕はもうこれ以上書けないです。ほんとうにありがとう!

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